谷やんシリーズ

もし谷やんがいびきをかき続けていたら

 

「好き…大好き……」

キスの合間に突然告げられた言葉は、別に今まで言われていないことを気にしたことはなかったけれど。

「……破壊力すげぇ」

急に顔を見るのが恥ずかしくなって顔を下に向けると、顔を覗き込まれて逃げ場を失う。

「……いやだった?」

「いやそうじゃなくって」

嫌ではないと告げると、再開されるキスの嵐。ほんの僅かに残された理性で、少し離れたソファーへと視線を向ける。

「ふがーっふがーっ」

茜さんのこの姿を見られることは無いことに安心して、意識を目の前の彼女へと戻す。

「んん」

自分以外のことを考えていたことがわかったのか、茜さんにキスをしたまま睨まれた。そしてそのまま馬乗りになった茜さんに押し倒される形となり、全体重をかけられる。

両頬をがっちりと固定され、逃げることを許されない。彼女の甘い舌に翻弄されるだけではなく、柔らかい身体を惜しみなく擦りつけられ、腰をくねりと動かしては密着させられて、既に限界に近い状態まで追い込まれていた。

「茜さん、ちょっとまって」

「いやなの?」

「嫌とかじゃないけどこれ以上は…」

顔を離して肩に手を掛け、身体を起き上がらせようとするも、涙を零したまま、顔を赤らめた茜さんは身体を起こすどころか更に密着させてくる。

「山田のことすごい好きだから、もっとしたいの」

「…俺も好きだし、したいけど」

すると突然下半身に強い刺激が走る。茜さんがトロンとした表情をして、スウェットパンツ越しに主張する部分に触れていたのだ。

「ちょっと茜さん」

「山田…好きなの…」

「ホントにまって、止まんなくなるから」

「止まんなくていいよ」

再び甘い口付けを落とされて、脳が正常に働かなくなっている。彼女が許可しているのだから、落ち込む彼女につけ込むだとか、我慢しなければいけないだとか、そういうものは考えるだけ損でしかないのかもしれない。

「茜さん」

茜さんと密着したまま身体を起き上がらせて、キスをしたまま体勢を変える。茜さんの服の中に手をかけると、柔らかい肌の感触が手のひらに広がってくる。夢中で触り、茜さんの熱い吐息を耳元に感じては身体はどんどん熱を上げていった。

「ふがっふがっふがっふがっ」

最後までしてもいいのだろうか。とうに限界を迎えてはいたはずなのに、このまま欲望のために進んでもいいのかが気になってしまう。

「ふがっふがっふがっふがっ!!!おい!!!山田ァァァ!」

急に自分の名前を呼ばれて驚き、ソファーへ視線をやると、おかしないびきをかきながら寝ている谷さんの姿があった。正直、茜さんに夢中になってすっかりと存在を忘れていた。

「!?!?」

それは茜さんも同じのようで、顔を真っ赤にして布団の中へと潜っていった。チッと心のなかで舌打ちをして身体を起こす。

「谷さん、時間オーバーしてるから出てって」

「ふがっ!?あれ、ここはどこ?」

「俺んち。早く出てって」

「山田ー、お前俺を追い出してりおりお(仮)とイチャイチャすんだろー」

「だから誰だよ」

「山田くん♡俺も混ぜて♡」

「は?」

嫌がる谷さんの服を引っ張り、玄関を開けて荷物と共に追い出す。傘も一緒に渡したのだ、文句を言われる筋合いはない。玄関の方からは騒音が響き渡るが、そのうち気にならなくなる。

布団に包まる茜さんは先程までの勢いを無くし、小動物のように縮こまっている。その姿に口元が緩んだのは、きっとバレていないだろう。

 

おわり

 

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谷やんの選択によりあの日の山茜は変わるのだ―――。

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