Epilogue. おとぎ話の結末

 

 魔法使いルーカスが力尽き、オベリア帝国は何一つ形を残すことなく滅びた。世界樹には彷徨う魂が溢れかえり、かつてないほどの混乱を見せている。

「私の選択が間違っていたの?」

 この物語を追い続けた女は、帝国が滅び信じられないほどの死者を出した結末に言葉を失った。そして、この哀しい結末を迎えても尚、数々の魂が行き交うためか、それとも禁忌の術を使用した代償のためか、再会を果たせない男を想い、涙を流した。

「この結末を変えたい」

 心からそう願うと、突風により世界樹に生えた葉が女の周りをひらひらと舞い散った。言葉は無いが、彼女には光り輝く大樹が、この悲惨な結末を変えようとしていることが分かり、その幹に縋りつく。

 女は考える。何を変えれば、哀しい結末を迎えずに済むのだろうと。

「私が出会わなければ?」

 女は思う。出会った時の誰も信じられない目をした孤独な男のことを。あの男のことを放っておくことなど私にはできないと。

「私が死ななければ?」

 女は思う。愛する男との間に授かった愛しい子を産まないなどという選択肢は絶対に存在しないということを。

「では……」

 女は愛しい娘に希望を託す。愛する男を、どうか私の代わりに幸せにしてほしい、と―――。

 

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